以前、同軸管による2分配器を製作しましたが、加工が大変でした。
1200MHzスタック用同軸管の製作 - JN4JXLの業務日誌
そこで、今回はマイクロストリップラインを使ったQマッチによる1200MHz用の分配器を製作してみました。
先に断っておくと、高周波や伝送線路の知識はほとんどなく、ネットで調べたことを適当に組み合わせているだけです。 何か間違っているところがあれば、ご指摘いただければ幸いです。
4分配器の設計
さて、4分配器のQマッチですがJR4MDAさんの記事によると、1/4波長で50Ωの伝送線路が必要なようです。
http://park11.wakwak.com/~jr4mda/jr4mda_045.htm
つまり、片側で入力が合成されるところまでは通常の50Ωで、Qマッチ部分も50Ωなので、マイクロストリップラインの太さは一定で良さそうです。
KiCadの計算機ツールで求めたところ、50Ωの場合、ライン幅は約 2.97 mmという結果になりました。
次に、Qマッチ部分の長さですが、プリント基板(FR-4)上にマイクロストリップラインを構成する場合、波長短縮率を考慮する必要があります。
こちらのサイトによると、1GHzのときk=0.554ということなので、こちらの値を採用します。
http://www.purple.dti.ne.jp/masuki-sys/pg98.html
先ほどの計算機ツールによると、90度(1/4波長)のとき 57.875 mmとありますが、どうも波長短縮率が考慮されてなさそうなので、0.554を掛けて約 32.06 mmとします。
これで必要な寸法は出揃ったので、KiCadで基板に起こします。(KiCadは数年ぶり&ほとんど使っていないのでど素人です)
悪戦苦闘しながら出来上がったのがこちら。なんとなく固定用の穴も開けときました。
SMAコネクタは、基板端にはんだ付けするタイプです。
2分配器
2分配器では、Qマッチ部分のラインの幅が変わります。
最初に2入力を並列に接続するので、入力インピーダンスが25Ω、出力インピーダンスを50Ωとすると
sqrt(25*50) = 35.355...
となるので、35.35 Ωとして再度KiCadの計算ツールで計算すると、約 5.1 mmとなりました。
同様にKiCadで基板に起します。
当初どう計算したのか忘れましたが、Qマッチの長さが32.437mmになっています。計算値と異なってますが0.4mmくらいなので一旦そのままで…
JLCPCBに発注
出来上がったデータをKiCadからJLCPCBのプラグインでエクスポートして、JLCPCBの見積もり画面にぶち込みます。
1枚100円ちょいくらいでした。
5/6に発注して5/18に到着したようです。
発注していた #1200MHz の2分配器の基板が届いたのでコネクタつけてみました。
— いけちょ(JN4JXL) (@ikeda_shogouki) 2023年5月17日
そのままだとSWR1.4で、まずまずといった感じ?
試しにQマッチ部分に銅テープを貼るとなぜかSWR1.04とベタ落ちになりましたが…どういうこと? pic.twitter.com/te3L03QD3w
実は最初に発注した時、2分配器のQマッチの幅が間違えて4mmになっていたため、2分配器は失敗作です。
測定
2分配器は一旦置いて、4分配器にコネクタをつけて、LiteVNAで測定します。
3カ所に50Ωのダミーロードを接続し、1カ所をLiteVNAに接続することでSWRと通過特性を測定しているつもりです。(違ってたら教えてください)
結果は、通過が-6.2dBなので、理論値の-6dBと比較してもほとんどロスはないように見えます。
SWRも1.042なので、数値上は良いものが出来ているように見えます。
あとは同じアンテナを4つ用意しないと…